ファクタリングは、企業が売掛債権を譲渡して資金を早期に確保する、柔軟な資金調達手段です。しかし近年、この仕組みを悪用した不正行為が相次ぎ、2024年も逮捕者が出る事態となりました。この記事では、2024年に発覚したファクタリング関連の逮捕事例とその手口をまとめ、業界全体の課題と対策を明らかにします。

架空債権によるファクタリング詐欺

2024年に複数報道されたのが、実在しない売掛金を使って資金をだまし取る“架空債権”型の詐欺事件です。

加害者は架空の取引先との契約書や請求書を偽造し、実際には存在しない債権をファクタリング会社に売却。その結果、数百万円規模の資金を不正に取得し、後に発覚・逮捕に至りました。こうした手口は、契約書や請求書が本物そっくりに作られているため、初見では見抜くのが難しいとされています。

二重譲渡による詐欺

同一の売掛債権を複数のファクタリング会社に売却し、重複して資金を得る「二重譲渡詐欺」も後を絶ちません。

被害に遭った会社は、売掛金回収の段階で初めて他社にも譲渡されていた事実に気付き、警察へ通報。詐欺罪として立件されたケースがありました。この手口は、業界内の情報共有不足を突いた悪質なものです。

資金使い込み・横領のケース

2024年1月、群馬県太田市では自治会の資金管理を任されていた男性が、自治会口座から30万円以上を不正に引き出して私的に使用していたとして逮捕されました。

この事件ではファクタリングそのものではなく、ファクタリングで得た資金を本来の返済や運用に使わず、私的利用に充てていた点が問題視されました。売掛債権の名目で得た資金の使い道には厳しい視線が注がれています。

ファクタリング詐欺の背景

これらの事件の背景には、深刻な資金繰り悪化や経営難があるケースがほとんどです。金融機関からの融資が得られず、最後の手段としてファクタリングを選んだものの、信用不安や返済の見通しが立たず、不正に手を染めてしまう――という構図が多く見られます。

また、一部にはファクタリングの仕組みを十分に理解せず、安易に利用してしまったことからトラブルに発展する事例もあります。

不正を防ぐためにできること

再発防止に向けて、業者側と利用者側の双方で注意すべき点を整理します。

ファクタリング会社が取るべき対策

  • 売掛債権の実在性を確かめるための徹底的な審査体制の構築
  • 過去の契約や入金履歴との照合による多重譲渡のチェック
  • 契約先の信用調査・モニタリングの強化

利用者が心がけるべき点

  • ファクタリング契約前に仕組みや法的性質を正しく理解する
  • 利用目的や資金の使い道を明確にしておく
  • 手数料や契約条件を十分に確認し、透明性の高い会社を選ぶ
まとめ

2024年はファクタリングを悪用した不正事件が全国で複数件発覚し、逮捕者も出るなど注目を集めました。ファクタリング自体は合法で便利な資金調達方法ですが、その仕組みを逆手に取った詐欺行為も存在します。

企業・個人を問わず、利用者が正しい知識を持ち、信頼できるサービス提供者と契約を結ぶことが、被害を未然に防ぐ最も重要な対策です。業界全体としても、さらなる透明性と情報共有が求められています。